おでんと煮物はどう違う?千差万別!地域おでんの特色も

2021.10.29
フード
おでんと煮物はどう違う?千差万別!地域おでんの特色も

秋から冬にかけてコンビニで人気のおでん。コトコトと煮込まれ、だし汁が染み込んだ具材のおいしさは、まさに寒い季節の風物詩です。
具材を煮込むという点では煮物も同じですが、おでんとの違いはなんなのでしょう?そもそも、おでんの定義って?!

よく知っているつもりのおでんですが、実は意外に知らないことだらけかもしれません。関東と関西のおでんの違いは?おでんは地域によってこんなに違う?驚きの食べ方や具材もご紹介します!

おでんと煮物の違いとは

煮物とは「食材を水と調味料で煮込んだ料理のこと」つまりおでんも数ある煮込み料理のひとつです。
地方によって個性的なおでんのレシピがあるのは、煮物という自由度の高いカテゴリーのメニューだから。この柔軟さが、全国各地のおでんが独自の進化をとげてきた理由とも言えます。

最初はおでんを焼いていた?

最初はおでんを焼いていた?

おでんは、豆腐を串に刺して焼いたものに辛味噌をつけた「豆腐田楽」がルーツです。おでんを漢字で書くと「御田」で、宮中言葉で「お」をつけ「楽」が略されたとされています。

田楽の種類も、豆腐だけでなく里いもやこんにゃくと増えてゆき、煮込み田楽が登場します。煮込み田楽の進化には諸説ありますが、最も有力な説は関西に渡って関東に再上陸したというもの。

関西に伝わった煮込み田楽は、味噌田楽と区別するため「関東炊き」という名前で呼ばれました。しかし濃口醤油と砂糖の甘く濃い味付けが関西には合わず、味や具材などが関西好みに改良されてゆきます。

関西から関東に逆上陸

そして大正12年、関東大震災の時のこと。関西の料理人たちが炊き出しとして、改良した「関東炊き」を多くの人に振る舞いました。こうして逆上陸する形で、現在の関東のおでんが誕生したのです。
関東のおでんが、お店によって濃口醤油だったり、薄口醤油だったりするのはこういうわけです。その後、おでんは全国に広まり、それぞれの地域で改良されていきました。

関東と関西のおでんの違い

関東と関西のおでんの違い

煮物としてのポテンシャルを最大限に発揮するおでんは、その後、日本全国でさまざまな進化を遂げています。まずはそのベースとなった関東と関西のおでんの違いを見てみましょう。

関東・関西の出汁の違いは?

関東の出汁は昆布と鰹節。みりんと酒、濃口醤油で味付けします。関西のおでんは昆布と鰹節の出汁に、薄口醤油と塩で味付けします。関東では具材にしっかりと味が染み込むまで煮込むのに対し、関西はあっさりと煮込むのが特徴です。

見た目や煮込み具合から、関東は濃い味・関西は薄味と言われることもあります。

関東・関西の具材の違いは?

関西ならではの具材にコロと呼ばれる鯨の皮、鯨の舌のさえずりがあります。コンビニおでんで浸透した牛すじやタコ足も、元は関西ならではの具材です。

関東でおなじみのちくわぶは、他の地域では馴染みがない具材。関東地方の人には意外かもしれませんね。また、関東のすじは魚の軟すじをすりつぶした練り物。とはいえ最近は関東でも牛すじを扱う店舗も多く、関東本来のすじを見かける機会が減っている印象です。

関東・関西の薬味の違いは?

関東のおでんの薬味は和からしが基本です。関西でも和からしが使われますが、しょうが醤油も一般的に使われています。

日本全国でおでんが進化!地域別の違いがおもしろい

おでんの地域別の違い

夏にもおでんの北海道地方

秋〜冬というイメージの強いおでんですが、北海道では夏にもよく食べられます。
昆布が強めの出汁を使い、貝類やふきが入っているのが特徴です。白子やじゃがいもが入ったり、みそだれで食べる地域も。

地域の個性を感じる・東北地方

【青森】
青森のおでんは、ねまがりだけという竹の子などの山菜、白こんにゃく、ほたて貝などの海と山の幸がバランス良く入っています。津軽味噌でつくった生姜だれをつけて食べると、生姜の香りとおでんの旨みが口いっぱいに広がって、ついつい食べすぎてしまうかも。

【仙台】
コンビニで東北地方のおでんとして販売されているものは、多くは仙台のおでんがベース。焼き干しを使った香ばしい出汁が特徴で、具材は海と山の幸がバランスよく入っています。秋刀魚をつかったつみれも仙台ならではの具です。

独自の進化が全国で人気・中部地方

中部地方のおでん

【静岡】
ご当地おでんの中でも全国的に有名で人気の高い静岡のおでん。
醤油と牛すじでとった真っ黒な汁に、串にさしたアジやイワシを使った黒はんぺんや、なると巻き、牛すじや豚モツなどを入れて煮込みます。
食べる時は、イワシやカツオの粉末と青のりを混ぜた「だし粉」をかけるのが静岡流!

【名古屋】
カツオ出汁に濃厚な八丁味噌と酒、三温糖で作った甘辛い汁で煮る名古屋のおでんは、見た目のインパクト抜群。具材の牛すじや豚モツ、大根などを真っ黒になるまで煮込んだ個性派おでんです。

パンチが効いた進化を感じる九州・沖縄地方

九州・沖縄地方のおでん

【博多】
おもしろいのが具材の餃子巻き。餃子の具を魚のすり身で巻いてあります。出汁は合わせ出しや鶏ガラなど。

【鹿児島】
豚でとった出汁をベースに麦味噌を合わせた甘めの汁が特徴の鹿児島のおでんです。スペアリブや大豆もやしなど具材も個性的!

【沖縄】
鰹節と豚の出汁で食べる沖縄のおでんは、ソーセージや豚足、青菜など他の地域では見かけない沖縄独自の具材が多めです。薬味にマスタードを使うことも。
また、おでんのだし汁をつかった「おでんそば」をメニューに置いている店もあります。

コンビニおでんも地域で違う!その土地の味を楽しもう

実はコンビニで売られているおでんも、地域によって出汁や具材などを変えています。地域の区切り方はコンビニによってそれぞれですが、発売されているおでんの種類は7〜9地域。

地域によっては、その土地の味ではない近隣のご当地おでんを扱っている場合があるため、同じ場所で別のふたつの味が楽しめることも!
例えば、現地のおでん屋さんでご当地おでんを食し、コンビニで別地域のおでんを楽しむというおでん旅もできます。なんだかおトクな気分ですね。

地域の魅力を個性豊かに引き立てるご当地おでん。旅行へ行ったら、おでんを通じてその土地の味を楽しんでみてはいかがでしょう。

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